年頭挨拶
年頭挨拶
日本空手協会会長 草原克豪
明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれては健やかに新春をお迎えのことと存じます。
いよいよオリンピックも来年に迫り、空手に対する関心が今まで以上に高まっています。協会の空手は伝統的な一本勝負を特色としているので、この点において、競技性を重視したポイント制の空手とは異なりますが、両者の違いは、試合というものを、空手修行における一過程とみるか、それとも勝ち負けを競う競技とみるかの違いです。
空手道における試合は、それを通じて自分の技の成長を確認するところに重要な意義があるのであって、勝ち負けの結果がすべてではありません。重要なのは心身の鍛錬であり、それを通じた人間形成です。そのためには形の稽古を中心にしなければなりません。なぜなら、形こそが空手の基礎・基本だからです。
空手は日本の武道の一つですが、武道憲章によれば、武道とは「日本古来の尚武の精神に由来し、長い歴史と社会の変遷を経て、術から道に発展した伝統文化」であるとされています。つまり、武道は文化なのです。そして、その目的は、「武技による心身の鍛錬を通じて人格を磨き、識見を高め、有為の人物を育成すること」とされているのです。
私たちはこのような武道の考え方に基づいて、目指す目標に少しでも近づこうとして努力しているのです。ですから、空手の修行にはこれで完成ということはありません。永遠に未完成です。だからこそ、生涯武道として修行を続ける価値があるのです。
日本空手協会は、「礼節を重んじる日本武道の精神を国際的に広めることによって、世界平和に貢献する」ことをその目的に掲げています。この重要な使命を果たすため、今年も会員の皆様と一緒に取り組んでまいりますので、ご支援ご協力のほどお願いいたします。
新しい年が、会員の皆様一人ひとりにとってこれまで以上に充実した年となることを祈念いたします。