全空連による恣意的ともいうべき除名処分に伴う日本空手協会の対応等について
全空連による恣意的ともいうべき除名処分に伴う日本空手協会の対応等について
1 平成22年 全日本空手道連盟(以下「全空連」という。)の天皇杯•皇后杯
下賜申請に対し、(公社)日本空手協会は、熟慮した結果「時期尚早」と判断し、
その旨を伝達しました。
その理由として
1) 全空連が推進しているWKFスタイルのスポーツ空手が、日本独自の
伝統文化を受け継ぐ武道・空手道とは似て非なる程にその本質を変えた、
「ヨーロッパ発ポイント制カラテ」に変貌しているという指摘があるからです。
勝利至上主義のため日本武道の根幹をなす礼節、節度及び品格に欠けて
いるのではないか、観客受けを狙うために、毎年競技ルールを変更する
ため分かりにくく、現在では本来の空手道とは、同名異種の存在となって
いるのではないか、という声が多く聞かれます。(公社)日本空手協会は、
内閣府認可の公益法人として定款に定める日本の伝統文化としての
「武道空手」を護り、将来に亘ってこれを推進、伝承する使命があります。
2) 日本の空手界は、さまざまな流派、会派、連盟、協会に分かれ、
それぞれの目的にあわせ各々独自の活動を行っています。
これを大別すると以下のようになります。
① 「武道空手」 日本武道の精神、伝統性を重視
② 「スポーツ競技空手」 スポーツ性を重視
③ 「格闘競技空手」 格闘技性を重視
④ 「古伝空手」 競技試合を行わない
⑤ その他、さまざまな独立系団体(防具•グローブ等使用)
これらが割拠しています。このように空手界は未だ統一性、品性等に問題が
あるのが現状であると考えています。このような事案に鑑み、日本国の象徴
である天皇陛下、皇后陛下の名を冠する「杯」を戴くことは相応しくない
という判断から「時期尚早」であるとの結論に至ったものであり、全空連に
その旨を伝えたところであります。
2 以来4年間、両法人は共に公益法人制度の改革に伴う公益法人の
認定を受け、社団、財団の違いこそあれ、両法人は一層対等の立場と
なり推移してきたところであります。しかし、その間、全空連は、天皇杯•
皇后杯の下賜に関して、(公社)日本空手協会と協議の機会を設けることも
なく、相互理解を深めるなどの努力もせず、また、正式なる文書による照会等
を行うこともないまま、平成25年11月に全空連の副会長である栗原氏から
(公社)日本空手協会の森専務理事に対し、「空手協会は傍観していて欲しい、
もし、反対するならば除名する」という電話による一方的かつ強権的な通知が
あったのみで、本重要案件を決定してしまいました。このような行為は両法人
の公平な立場を危うくするものであり、(公社)日本空手協会としては強い
危機感を抱かざるを得ません。
3 (公社)日本空手協会が、この度(平成25年)天皇杯下賜を請願した
理由は、昭和32年(1959年)日本空手協会が社団法人認可以来一貫して
空手道を日本の心性、文化、伝統の一表現として国の内外に指導普及し、
その推進を図ることを目的としてきたこと。また、武道空手を通じて
青少年の健全なる育成に力点を置いてきたこと。加えて昭和36年開催の
第5回全国空手道選手権大会に、今上天皇(当時は皇太子殿下)のご臨席を
賜るなど、国内における空手道の最も権威、歴史ある大会を主催してきたこと。
さらには、現在、内閣総理大臣杯及び文部科学大臣杯を授与をされていること
などから、更なる武道としての空手道の普及と発展を図るという考えに立って、
全空連と対等な立場に立つ公益社団法人として機は熟したと判断し、天皇杯
下賜の請願を行ったものであります。以上記述したとおり、全空連の申請等を
妨害する必要など一切ありません。
なお、天皇杯•皇后杯下賜の請願については、(公社)日本空手協会は天皇杯
のみの請願であります。また、(公社)日本空手協会及び全空連は同格の公益
法人であることから、両法人がそれぞれの立場で申請又は請願したとしても、
一方が他方の申請又は請願などを妨害したとする論拠は恣意的かつ不可解
極まりない主張であります。
4 全空連が、(公社)日本空手協会を除名処分とした平成26年3月10日付け
全空連発第383号処分通知書は、その根拠規定を規約第14条第4項(第4号の
間違い)としておりますが、同条同号は「加盟団体又はその会員が・・・・・・・」
の規定であり、(公社)日本空手協会は、同規約第4条の加盟団体ではなく、
第5条に規定する会派「協力団体」であるため、第14条を適用して処分できる
ものではありません。また、除名処分に関する規定は同規約第15条第3号であり、
(公社)日本空手協会を除名処分とした全空連の行為は、極めて稚拙、軽率の
誹りを免れず、かつ、重大なる瑕疵ある処分に該当し、法律上からもこの行為は
無効であります。全空連のこの行為により(公社)日本空手協会は、その名誉と
信頼を著しく損ない、かつ、公益事業の推進を妨害されるなどの甚大なる損害を
被っております。
5 この度の全空連による除名処分行為は(公社)日本空手協会の名誉を著しく
傷つけていますが、(公社)日本空手協会に対する除名処分は皮肉にも、全空連
の公益性を損なう行為となっているのであります。全空連は日本体育協会の加盟
団体でありますが、日本体育協会定款第6条第1号は、「国内におけるスポーツ
を各競技別に統括するスポーツ団体であって、この法人に加盟したもの(以下
「加盟競技団体」という。)」と規定しております。しかしながら、内閣府から認可
された公益社団法人日本空手協会を除名するという行為により、協力団体から
外した後において、全空連は果たして日本の空手界を統括する団体としての
資格はあるのか、という根本的な問題が生じることになります。
ちなみに、「笹川スポーツ財団」によると、国内空手人口を300万人と発表して
いますが、全空連の現在の会員登録者は約8万人のみと発表されております。
そして、今回の全空連による除名処分行為は、国の内外を問わず空手道の
将来及びその発展に大きな損害を与えるものであります。
6 (公社)日本空手協会は、全空連がこの度の除名処分を撤回するならば、
今後においても全空連の協力団体として、いつでも対等な立場で協力する
準備は整っております。しかしながら、ある公平かつ中立的な第三者は、
この度の全空連の行為を重く見て、仲介の労を取るべく、(公社)日本空手協会
と全空連とによる直接面談による協議を行うことを意図したのでありますが、
全空連はその先に電話して、なぜ、仲介に入っているのか、面談したければ
日本空手協会が直接連盟に出向くべきである、という発言をした、ということで
あります。
7 内閣府 公益法人等認定委員会事務局は(公社)日本空手協会からの
事情聴取により、基本的人権を尊重して全空連の除名処分に伴い被害を
受ける選手の出場権の確保、並びに任意団体のガバナンスの尊重などに
ついて、多大な御努力をいただいていると確信しております。
また、内閣府 公益法人等認定委員会及び関係諸機関は、終始一貫して
(公社)日本空手協会と全空連とは公益法人として対等の立場にあり、
当然のことながら、その間に上下の関係はないとの立場でおられます。
8 日本国憲法に保証されている基本的人権である会員の大会出場権、
請願権等、及び、道着の胸マーク使用権、道場旗等に協会マークを使用
する権利等の表現の自由権は、必ず擁護されなければなりません。
9 今後、(公社)日本空手協会は全日本空手道連盟の出方を見極めた上で、
最善の措置を講じて参る考えであります。
(公社)日本空手協会 対策本部
平成26年4月30日